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着物の流れ

  • 神の時代から

    2017.03.6

    我が国には「神代」と云う時代があります。これは明治の教育がでっち上げた一つの物語であるという学者もいますし、「古事記」も信憑性を疑われています。けれど、きものを研究する上では「神代」の物語というものはどうしても必要なものでございます。 御存知の通り神様はたくさんあります。その中で、日本の国造りをなさった神が、イザナギ、イザナミの御夫婦の神様です。国造りを終え、多くの神々を生むのですが、ヒノヤギハヤオの神を生んだ時、イザナミの神は病気になって死んでしまう。このヒノヤギハヤオの神は「火」の神だったので「みほと」が焼けてしまったわけです。
    イザナミの命が死んでしまっても忘れられないイザナギは、イザナミに会おうと黄泉の国へ追っかけてゆきました。イザナミは「もっと早く来てくだされば良かったのに、もう亡者の食物を食べてしまったから黄泉の国の人間になってしまいました。けれど還ろうと思いますから、覗いてはいけませんよ」と云って部屋の中へ入ってしまう。それにも関わらず恐いものは見たいから、旦那様が一寸覗いてみると、イザナミの休には蛆虫がわいてすでに亡者になっている。「これはいかん」と云ったかどうか、大急ぎで逃げ還ろうとしているところへイザナミが出て来て、「私に辱をかかせて」と、黄泉の国の悪霊や鬼を使ってイザナギを追っかけさせたんですね。
    どんどん逃げて逃げて、黄泉の国境に来た。けれどまだ追っかけて来る。丁度そこになっていた桃の実を三つなげつけたら、鬼たちは皆退散したという、これは神代の物語なんですよね。
    今の世の中には一寸通じないけれども、この後のお話に、きものと関係する事柄が現われて来る。
    黄泉の国へ行って身がけがれたイザナギは、竺紫の日向の橘の小門の阿波岐原でみそぎをします。その時に、杖や帯、冠、褌、着物などを海に投げ捨てます。
    神代の時代既にきものがあったということ、針も使っていたということが察せられる。といいましても、この「古事記」が成立したのは712年、神代の時代からはかなりの時が経ってはいますが。
    話は変りまして、皆さん御存知の耶馬台国のことになります。この当時のことと云いますと、2、3世紀の頃になりますが、記録は日本書紀や古事記ではなく、中国の正史の、倭伝に残っているわけです。その中でも一番古い記録と云われているのが「魏志倭人伝」。その中に、「其の風俗淫ならず。男子は皆露かいし、木緜を以って頭に招け、其の衣は横幅、およそ結束して相連ね、ほぼ縫うこと無し。婦人は被髪屈かいし、衣を作ること單被の如く、其の中央を穿ち、頭を貫きて之を衣る(其風俗不淫、男子皆露かい、以木緜招頭、其衣横幅、但結束相連、略無縫、婦人被髪屈かい、作衣如單被、穿其中央、貫頭衣之。)」とあって、裁縫を施さない粗末なものを着ている。男は体に巻きつける袈裟状のもの、女子は中央に穴をあけた貫頭衣を着ていたという記録が残っているわけです。
    ところで、景初3年(中国明帝の年号で、239年)に女王卑弥呼が明帝に使いを出して、男4人と女6人の奴隷を献じ、一緒に斑布二匹二丈も贈り物しています。その翌年にお返しとして中国の皇帝はたくさんの織物や宝物と一緒に、金の印綬を女王に贈り、倭王を名乗ることを許しています。
    さてこの印綬はその後 1500 年以上たった、徳川時代の中期ですか、お百姓さんが、自分の田の水はけが悪いために、その溝を直しておった。二、三枚の石をどかすと、不思議にもそこに純金の印綬が出たんですね。それが天明4年(1784)のことですから、随分長い間地の中に埋っていたわけです。
    卑弥呼はその後、正始 4 年(243)にも、「生口(どれい)・倭錦(にしき)・絳青ケン(赤や青の絹)・緜衣・帛布」などを中国の皇帝に献上しています。ということは、その時代にも立派な織物が日本で作られていたことになる。どんな織物かは想像するだけで、はっきりしたことは解りませんが、中国の正史の魏志倭人伝に記録されているから作られていたことはまず間違いない。 中国の正史「魏志倭人伝」には240年前後の事が記されているのですが、それ以前にも日本は中国からの文物を取り入れています。朝鮮半島と日本の間にある、済州島には朝鮮半島から大陸の文物が入っていた。日本の文化はずっと遅れていますから、そこへ行って物々交換をして、珍しい物を日本へもってくるということが行われていたわけです。

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